toikoのブログ

大腸がんステージ4

お腹グルグル

安達太良山に誓う…


治療の予約時間には早すぎた。

4時間前からは飲食禁止で

(少しの水なら良い)

お店で時間を潰せないし、

近くの公園を散策してみたが、

雪がチラチラ降ってきたので

寒くなり断念した。


治療センターには、

4階にラウンジがあり、

そこの窓からは

安達太良山が見える。


山の神よ

どうか私に力を!


祈る


グルグル~

グヂュグヂュ~


はぁ…

またお腹が鳴ってる…


せっかくの神聖な思いも

苦笑と共に失せてしまった。


腸閉塞になった時も、

お腹から賑やかな音がしてたっけ。

いや、今はそれ以上に、

何重奏にも襲ってくる。

そして一番は、

湯船に浸かると、

水圧のせいかグルグルが止まらない…

グルグルが止まるまで、と粘ってみたら

のぼせてしまってる。


下痢も続いてるし…


ガンで切り取って

短くなった私の腸。


ヤクルトにヨーグルトにマヌカハニー。

何が欲しいの?


頑張っておくれよ…

陽子線治療

只今、

陽子線治療中である。


大腸がんからの肝臓と大動脈リンパ節への転移…


抗がん剤治療で手術可能になり、

開腹手術を行ったのが

昨年の2月末日…


が、

しかし…

また再び大動脈リンパ節への転移が見つかり…


今度は、

陽子線治療に挑戦している。

病院まで、片道2時間かけて通院しているが、

陽子線照射を2回終えた時点で、

開腹手術後に常にあった背中の痛みが和らいできたのに驚き、

主治医に、「勘違いかもしれないが…」

と話すと、「そういうこともあります」

という返事をもらい、

陽子線治療の効果に、期待している。


この大動脈にへばりついてるガンは、

再発と確定診断されるまで、

外科の主治医を悩ませた。

画像が、リンパ節転移の典型的な形ではなかったものであり、

また腫瘍マーカーの上昇はなく正常範囲であったからである。

もしかしたら、ガンではなく、自己免疫疾患の炎症反応では?と。

それならば、ステロイドを投与すれば、

治りますから…と、

ほぼ、ガンの再発ではないことに望みを託して、

超音波内視鏡にて生検を行った。


結果…

また、大動脈リンパ節への転移が認められたのである。


2回手術して、

すぐ転移してしまう。

再再発か。

へっぽこな体であるよ…

ガンなの?ガンの疑いなの?

去年の3月9日に、腸閉塞で緊急手術、そのまま入院となった私。

ステントを入れて、劇的に痛みから解放され、久しぶりにぐっすり眠ることができた。

なんで今まで我慢してたんだろう?

半年近く、胃痛だと思っていたが、大腸に原因があったんだ…

改めて、自分の愚かさに情けなくなった。


病院での朝は早い。

看護師さんの問診に、「お陰様で…」と答えられることに、ちょっと照れながらも、まだ運は尽きてないとほっとした。


10日土曜日…

歯科医院は、いつも通りのアポイントを入れていた。

メンテナンスのため、何ヵ月も前からのアポを取ってる患者さんもいる。

歯科衛生士の姪が、出勤したスタッフに事情を説明して、患者さんにキャンセルのお願いの連絡を入れていることだろう。

いつまでの入院なのかわからないが、とりあえずは1週間の休診とした。


次に、2月分のレセプト(診療報酬の請求)…

提出の締め切りは、10日…パソコンからオンラインで送る。

レセプトをチェックしてる姪から、確認のメールが、ジャンジャン送られて来たが、昨日までとは打って変わり、頭も冴えて来たので、全然苦にならなかった。


ここでまた、ふと…

果たして、体調が万全でなかった私が、診療をしてよかったのか?

新患は断り、なるべく自分の出来る範囲で…とやって来たが、長い付き合いの患者さんを他へ紹介するのが忍びなく、自分の力を過信してしまったのではないか?

など、いろんな思いが頭をよぎった。


そこへ、一人のドクターが、ふらっと部屋に入ってきた。

背はさほど高くはないが…筋肉質のようで、顔は、いかつい中にも優しさがある40代後半から50代か…

「どうですか?痛みは?」

と聞かれ、また、お陰様で…と答える私に、うんうんとうなずき、

「腸を悪いものが塞いでいたから…それを取らないといけないですね」

眉をひそめて気の毒そうに話すドクターを見て、

(悪いもの…悪いもの…悪いもの…)

反芻して動かない私に、

「申し遅れました。私は外科のOです。」

と頭を下げて頂き、慌てて私も頭を下げると、

「詳しいことは、また後で来ます。一緒に頑張りましょう!」

「は、はい!宜しくお願い致します。」


ドクターが帰った後も、

(悪いもの…頑張る…悪いもの…頑張る…)

ずっと心で言い続けながら、

湧き出てくる

ガンという言葉を必死に押さえつけていた。